知らないと損!医療・介護施設のための空調・給湯・外壁等、建物丸ごと省エネ化補助金
更新日:2025年5月1日
【医療・介護施設 補助金活用ナビ 04】国交省 既存建築物省エネ化推進事業
~外壁や窓の断熱改修を含む、建物全体の省エネ化で、光熱費削減と快適性向上を実現する補助金~
≪この記事のポイント≫
- 補助金名:国土交通省 既存建築物省エネ化推進事業
- 対象施設:医療施設、介護施設を含む、様々な用途の既存建築物(詳細要件あり)
- 対象設備:外壁・窓等の外皮改修(必須)、空調、照明、給湯、換気、BEMS、エレベーター等
- 補助率:建物全体の省エネ率20%以上の改善等で1/3
- 補助上限額:5,000万円
- 対象経費:工事費(外皮改修含む建物全体の省エネ化工事)、設備費
- 公募スケジュール(申請期間):4月18日~5月23日
(※最新の情報、詳細な要件、スケジュール等は必ず公募要領をご確認ください)
医療・介護施設が直面する課題と建物全体の省エネ改修
エネルギーコストの高騰は、医療・介護施設の経営に深刻な影響を与えています。また、施設の老朽化に伴う断熱性能の低下は、光熱費増大だけでなく、利用者様や職員の方々の「暑い」「寒い」といった快適性に関わる問題も引き起こします。さらに、古い設備の維持管理コスト、いつ訪れるか分からない災害への備え(BCP)など、施設運営を取り巻く課題は多岐にわたります。
これらの課題を抜本的に解決し、長期的な視点で施設価値を高めるためには、建物全体を対象とした省エネ化改修が非常に有効です。特に、外壁や窓といった建物の「外皮」の断熱性能を高めることは、エネルギー効率を大きく向上させる上で欠かせません。しかし、大規模な改修には多額の費用が必要となり、踏み出せない施設も少なくありません。
そこで注目したいのが、今回ご紹介する国土交通省の「既存建築物省エネ化推進事業」です。この補助金は、建物全体、特に外皮改修を含む大規模な省エネ化を強力に後押しします。
国土交通省 既存建築物省エネ化推進事業とは?
この事業は、既存建築物における省エネ改修工事を支援することで、建築物の省エネ性能を向上させ、光熱費の削減と脱炭素社会の実現に貢献することを目的としています。特に、建物全体を一体的に評価し、外皮性能と設備性能を総合的に向上させる改修に手厚い支援を行います。
制度の目的と対象者
本事業は、既存建築物のエネルギー消費量を削減し、2050年カーボンニュートラル実現に向けた貢献を目指します。対象となるのは、学校、事務所、商業施設、ホテル・旅館、そして医療施設や介護施設など、様々な用途の既存建築物です。特定の規模や用途の要件がありますが、多くの医療・介護施設様が対象となり得ます。
対象となる改修工事と設備
この補助金で最も重要な点は、外壁、屋根、床などの断熱改修や、窓の改修(複層ガラス化、二重サッシ化、日射調整フィルム等)といった「外皮改修」が必須であることです。これに加え、以下の設備改修も併せて行うことで、建物全体の省エネ性能を総合的に向上させます。
- 外皮断熱:外壁、屋根、床等の断熱改修
- 窓改修:複層ガラス、二重サッシ、日射調整フィルム 他
- 空調設備
- 照明設備
- 給湯設備
- 換気設備
- BEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)
- エレベーター
単に古い設備を高効率なものに交換するだけでなく、建物そのものの断熱性能を高めることで、エネルギーロスを根本から削減することが、本事業の主眼です。
対象経費と申請上の注意点
本事業の大きなメリットは、設備費だけでなく、外皮改修や関連する工事費も補助対象となる点です。建物全体の大規模改修にかかる費用の負担を大きく軽減できます。
ただし、申請にあたっては以下の点にご留意ください。
- 外皮改修工事は必ず含む必要があります。外皮改修を含まない設備改修のみでは申請できません。
- BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の認定を取得することが義務付けられています。申請前にBELS評価・認定プロセスが必要となり、これには専門家への依頼や一定の時間、費用がかかります。(※なお、令和7年度事業からはBELS評価・認定にかかる費用は補助対象外となる予定です)
- 原則として、改修後に建物全体のエネルギー消費性能が、現行の省エネ基準から20%以上削減される必要があります。ただし、外皮改修工事の費用割合が総工事費の20%を超える場合は、省エネ率が15%以上でも申請可能となる特例措置があります。
- 令和7年度事業からは、複数年度にまたがる改修計画も申請可能となりますので、より大規模かつ長期的な改修にも対応しやすくなります。
【見逃せない!】補助金活用の具体的なメリット
この補助金を活用し、建物全体の省エネ改修を実施することで、医療・介護施設は以下のようなメリットを享受できます。
- 初期投資の大幅軽減:工事費を含む改修費用の最大1/3が補助されるため、自己負担を大幅に軽減できます。これにより、これまで費用面で難しかった大規模改修も実現可能になります。
- 光熱費の継続的な削減:建物自体の断熱性能向上と高効率設備導入により、エネルギー使用量を劇的に削減できます。削減できた光熱費は、人件費や医療・介護サービス向上など、他の重要な経費に充当できます。
- 施設環境と快適性の向上:断熱改修により、冬の寒さや夏の暑さ、窓際の結露などが軽減され、施設内の温度ムラも少なくなります。利用者様にとってより快適で健康的な居住空間を提供でき、職員様の労働環境改善にも繋がります。
- 資産価値の向上とBCP強化:省エネ性能の高い建物は、長期的に見て建物の資産価値を高めます。また、設備の老朽化リスクを低減し、エネルギー供給の安定化にも寄与するなど、BCP(事業継続計画)の観点からもメリットがあります。
- 施設の信頼性・イメージ向上:省エネや脱炭素への取り組みは、国や自治体が推奨する方向性であり、社会的な要請でもあります。環境に配慮した施設であることは、利用者様やそのご家族、地域社会からの信頼性向上や良いPRに繋がります。
気になる補助率と上限額
本事業の補助率は、建物全体の省エネ化という高い目標を支援するため、非常に魅力的な設定となっています。
- 補助率:補助対象経費の1/3
- 補助上限額:5,000万円
大規模な改修プロジェクトにとって、この補助率は大きな後押しとなります。
(参考:国土交通省 既存建築物省エネ化推進事業 公募要領 等)
申請スケジュールと流れ
補助金の活用には、計画的な準備と迅速な申請が不可欠です。特に本事業はBELS取得が必須となるため、余裕を持ったスケジュール管理が必要です。一般的な申請の大まかな流れは以下の通りです。
- 事前準備:現況調査、省エネ改修計画策定、BELS評価・認定、補助金対象工事の選定・費用積算、必要書類準備。
- 申請:公募期間内に申請書と必要書類を提出。
- 審査:提出された申請内容に基づき、審査が行われます。
- 交付決定:審査を通過すると、補助金の交付決定通知書が送付されます。必ずこの交付決定日以降に、補助対象となる工事の契約や発注を行ってください。(交付決定前の契約・発注は補助対象外となります!)
- 事業実施:交付決定に基づき、改修工事を実施します。
- 実績報告:工事完了後、事業内容や経費に関する実績報告書を提出します。
- 補助金受領:実績報告書の確認・審査を経て、補助金が交付されます。
令和7年度の公募期間は、4月18日から5月23日までです。公募期間は非常に短いため、検討開始から申請、BELS取得、工事計画策定までを逆算し、早めに準備に取りかかることが極めて重要です。
まとめと次のステップ:専門家への相談が成功のカギ
国土交通省の既存建築物省エネ化推進事業は、医療・介護施設が、建物の老朽化や高騰するエネルギーコストといった根本的な課題を解決し、利用者様・職員双方にとって快適で持続可能な施設環境を実現するための、非常に強力なツールです。特に、外皮改修を含む建物全体の大規模改修をご検討の施設様にとっては、工事費まで対象となる点が大きな魅力と言えます。
しかし、本補助金を活用するためには、外皮改修の必須要件、BELSの取得(手間と費用、そして補助対象外となる変更点)、そして短い公募期間というハードルが存在します。これらの複雑な要件を理解し、計画を立て、正確に申請手続きを進めることは、日々の業務で多忙な施設管理担当者様や経営層の皆様にとって、大きな負担となり得ます。
「うちの施設でも使えるのだろうか?」
「BELSって何?どうすればいいの?」
「複雑な申請書類は一人でできる気がしない…」
「スケジュールに間に合うか不安だ…」
もし、あなたがこのような疑問や不安をお持ちなら、ぜひ私たちのような補助金と設備の両方に精通した専門家にご相談ください。
私たちは、貴施設の現状や課題を丁寧にヒアリングし、本補助金の活用可能性を診断。対象となる最適な改修内容のご提案、BELS取得に向けたサポート、省エネ効果やコスト削減額の試算、煩雑な申請書類の作成支援、公募スケジュールに合わせたプロジェクト管理まで、補助金申請プロセス全般をトータルでサポートいたします。
専門家と連携することで、補助金申請のハードルを下げ、採択の可能性を最大限に高めることができます。
この機会を逃さず、施設の未来への投資を実現するために、ぜひ一歩踏み出しましょう。
▼「自施設で補助金が使えるか知りたい」「具体的な進め方について相談したい」という方は、
下記のお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。無料相談も随時受け付けております。▼